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ランボー エッセイ・私訳

Sensation 私訳

 ランボーの初期詩篇の中でも、最も初期のフランス語詩、「センセーション」を私なりに訳してみました。4行、2節の詩のスタイルも6行2節に変えてしまった他、原文から離れて訳した部分もあります。Sensationの翻訳というより、ひとつの解釈として読んでください。


     春風にさそわれて

   夏の青い夕べには
風に吹かれて
小道を行こう
麦の穂を感じ
ひんやりとした
草を踏み

   何も語らず
何も思わず
愛だけが限りなくあふれ
ボヘミアンのように
どこまでも遠く、心のままに
女と一緒のように、幸せに

              1870年3月


 今年(2002年)の3月、Microsoft France のショッピングページに Sensations d'Afriques という広告が掲載されました。そこには、アフリカツアーをはじめ、バナナとか、シロップとかの商品がありました。マダカスカルツアーも載っていました。
この sansation はどう訳したらよいのだろうかと考えました。「アフリカの感覚」ではないし、「アフリカのセンセーション」でもない。「アフリカの熱い風」というコピーにすれば、もっともイメージが近いのではないかと思いました。
同じ3月に Evenements "sensations" というタイトルで、モーターボート、カーレース、気球、ヘリコプターの体験、観戦ツアーが載りました。 Evenements "sensations" は、やはり「ドキドキ・ワクワク体験ツアー」という訳になるのでしょうか。空、風、熱、スピードなどの体感なのでしょう。この詩を「センセーション」というタイトルで翻訳したときに、海ではなく、空、風を思い浮かべました。パラグライダーの体験を思い出して、その写真を載せました。私はごく短い期間しかパラグライダーで飛んでいませんが、このタイトルに近い感覚に思えました。
冬の厳しい北フランス、温暖化の進んだ現在よりもさらに厳しい冬だったと思います。春が来て、春風が吹けば、思いはもう麦の実る初夏へ。高緯度地方の長い夏の夕暮れ、やさしい風とひんやりとした地面、体に当たる麦の穂の心地よい刺激。ランボーの幸せな夢想が感じられる詩です。この詩の日付は3月になっています。当時からこのような sensation の意味はあったのでしょうか。あるいは、翻訳しにくいこのタイトル sensation が、ランボーの新しい感覚だったのでしょうか。

2002年5月31日
門司 邦雄

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