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びっこのソネ
エルネスト・ドラエーに
ああ! ほんとうに悲しい、ほんとうに不幸な結末。
あまりにも不運で、生きることさえ許されない。
ああ! 褪せた眼差しで血が流れる去るのを見ながら
純真な獣は、ほんとうに死んでしまった。
ロンドンは煙り、叫ぶ。おお、なんという聖書の町!
ガスは燃え、スモッグは漂い、赤い看板が立ち並ぶ。
背の低い老人たちの議会のように、
家々はおそろしくちぢみあがり、怯えている。
ソーホー街のバラ色と黄色の汚れた大通りで、
「これで」、「いいわよ」、「よろしくね」と一緒に
すべての恐ろしい過去が、捨て猫のように泣きわめく。
いや、それはほんとうに希望のない受難、
いや、あれはほんとうに不幸な結末、ほんとうに悲しい。
おお、この聖書の町の上に天の火を!
注
この詩は1884年発行の「JADIS ET NAGUERE 昔と今(近頃)」の「JADIS昔」に収められた詩ですが、ガルニエ版の注(Jacques
Robichez)によると、ヴェルレーヌが1873年にルペティエへの手紙にの中に「冬 Hiver」というタイトルで載せています。。
この詩は、ドラエーへの献辞が付いていることも含め、1872年から1873年にかけてのランボーとのロンドンでの生活を描いていると思われます。この詩のタイトルの「Sonnet
boiteux びっこのソネ」は、韻律的にソネの形式を完全に満たしていないことから来ている名前とも言われますが、むしろ、ランボーとの不和を暗示しているタイトルのようにも思えます。
聖書の町は、創世記のソドムとゴモラのことを指していると言われています。とくに、煙や最後の行の「天の火」は、創世記19章24−28節に対応していると思います。
ロンドンの歓楽街であるソーホーの記述はランボーの「イリュミナスィオン」の「首都の鉄道(メトロポリタン)」の「バラ色とオレンジ色の砂」と類似しています。次の行は、英語で「indeeds」、「allrights」、「haos」と書かれています。「haos」は、「hellow」のことと取りました。ここは、ストリートガール(売春婦)と(外国人も含めた)客のやり取りと考えて訳しました。「捨て猫のように泣きわめく」は、原文を直訳すると「ピョンピョン、ピヨピヨ、ミャアミャア、キャンキャンする」という意味になります。
2002年10月7日
門司邦雄
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