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ボードレール

Chant d'automne

秋の歌

 ボードレールの「悪の華」に収められた「秋の歌」です。ヴェルレーヌの「秋の歌」ではなく、ボードレールの「秋の歌」で検索されることがあるので、翻訳してみました。この詩はマリー・ドーブラン詩篇に入ります。


       秋の歌
シャルル・ボードレール

          I

まもなく、わたしたちは、凍える闇に落ちてゆく、
さようなら、わたしたちの短すぎる夏の活き活きとした光よ
庭の敷石の上に、陰鬱な音を響かせて
焚き木が落ちるのが、すでに聞こえる。

冬がすべて、わたしの心に戻ってくる:
怒り、憎しみ、慄き、恐れ、強いられた辛い苦労、
そして、北極の地獄の太陽のように、
わたしの心臓は赤く凍れる塊でしかなくなる。

わたしは震えながら聞いている、薪の山が落とされる音を、
死刑台が築かれる音よりも鈍い響きを。
わたしの精神は、疲れを知らぬ重い槌で
破壊される塔によく似ている。

この単調な物音に揺すられて、
どこかで、あわただしく棺に釘を打っている。
なぜ? ――昨日は夏、今は秋!
この不思議な物音が、出発を告げるように鳴っている。

          Ⅱ

だが、今日は全ては苦い、甘く麗しき人よ、
わたしが愛する、あなたの切れ長の目の緑の光も、
あなたの愛も、サロンも、暖炉も、何ものも、(注)
海の上に光り輝く太陽にはかなわない。

だが、聞き分けのない邪な子さえ愛する母のように、
やさしい心よ! わたしを愛しておくれ、
恋人よ、妹よ、輝ける秋の、さもなければ夕日の
はかない甘い歓びであっておくれ。

短い勤めだ! 飢えた墓が待っている!
ああ! あなたの膝に額を乗せて、
白く燃える夏を惜しみながら、
黄色く甘い去りゆく季節の光を味あわせておくれ!

翻訳:2002, Parolemerde2001


注) この詩は1859年版では a M. D. つまりのマリー・ドーブランへの献辞が付いていました。
「サロン」は、「 boudoir 」で、閨房と訳されますが、小さなサロンとして使われる婦人の私室という意味です。分かりにくいので「サロン」と訳しました。
この19-20行は、始めは以下のように書かれていました。
「愛も、狭い部屋も、暖炉も、何ものも
燃える太陽にはかなわない」
なお、ここの「部屋chambre」には「寝室」という意味もあります。
テキストはLes Fleurs du mal/Baudelaire/Edition de A. Adam/Classiques Garnier
1961年発行(1970年版使用)

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