地獄での一季節

Une saison en enfer

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    昔、覚えているとおりなら、おれの生活は、あらゆる酒が流れ、あらゆる心の開く饗宴であった。
    ある夜、おれは美の女神を膝に乗せた…
  • 悪い血筋 - Mauvais sang
    おれがゴール人の先祖から受け継いだのは、青白い目玉、偏狭な脳味噌、けんかの下手さだ。おれの身なりだって、先祖同様に野蛮なのだ。もっとも、髪にバ…
  • 地獄の夜 - Nuit de l'enfer
    おれは悪名高い毒を一息に飲み下した。―おれが聞いた忠告に三たび祝福あれ!―内臓が焼けている。猛毒に手足は引きつり、体はねじ曲がり、おれは地面に…
  • 錯乱 I - 愚かな処女 - 地獄の夫
    - Délires I - Vierge folle - L'Époux infernal

    地獄の伴侶の告解を聞こう。
    「おお、聖なる「夫」よ、わが主よ、御身の下婢のうちで最も悲しい者の告解をお拒みにならないでください。私は身を持…
  • 錯乱 II - 言葉の錬金術
    - Délires II - Alchimie du verbe

    今度はおれの話を聞いてくれ。おれのいくつもの狂気のうちのひとつ奴の話だ。
    もう長いこと、おれはありうべき風景はすべて手にしていると自負してきた、…
  • 不可能 - L'Impossible
    ああ! 子供の頃のあの生活、どんな天気でも街道を歩きまわり、異常なまでに飲食をつつしみ、どんな乞食よりも無欲で、祖国もなく友もないことを誇りに…
  • 閃光 - L'Eclair
    人間の労働! これがおれのいる奈落の底をときどき照らし出す爆発だ。
    「すべては空しくない。科学に、前進!」と現代の「伝道者の書」、つまり「世の中…
  • 朝 - Matin
    愛されるべき、英雄的な、おとぎ話のような、黄金の紙に書き留めるべき青春が、おれには「かつて」あったのではなかったのか、―幸運すぎた! どんな罪…
  • 永別 - Adieu
    秋だ! 既に。だが、どうして永遠の太陽に未練があるのだ、おれたちが神の光の発見を託されたのであれば―季節の上に死んでゆく人々からは遠く離れて。…
     ・門司邦雄によるフランス語朗読あり

Données Explication

  • 「地獄での一季節」解題
    タイトル「地獄での一季節」はフランス語では「 Une saison en enfer 」です。「地獄の季節」と訳されることが多いです。しかし、「地獄の季節」という意味であれば「 Saison d'enfer 」になると思います。ただし、「 d'enfer 」はそれだけで「地獄のような」という意味になってしまいますから、「 de l'enfer 」「あの地獄の」と定冠詞を付けるかも知れま…

Données Christianisme

  • 「キリスト教との別れ」所見
    『地獄での一季節』の最後の詩「永別 Adieu 」は、タイトルどおり詩との別れ、つまり「見える者(見者)」の詩人であるランボー自身との別れと、「見える者」の道連れであったヴェルレーヌとの別れを書いた詩です。しかし、この詩には、もうひとつの別れが書かれています。それはキリスト教との別れ、神からの自由です。『地獄での一季節』の成…

À propos de ma traduction

  • 翻訳について
    私はランボーをフランス語では『イリュミナスィオン』から読み始めました。そして、読んでいくうちに、『地獄での一季節』『後期韻文詩篇』、さらに『初期詩篇』も読むようになりました。ランボーの書いた時間軸を逆にたどった訳です。
    『イリュミナスィオン』の「「ノアの大洪水」の後」「少年時代」あるいは「首都の」「野蛮な…

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