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ランボー イリュミナスィオン

Matinée d'ivresse

陶酔の午前


 おお、「おれ」の善! おお、「おれ」の美! おれが決してよろめかない凶暴な軍楽! 夢幻の拷問台! 前代未聞の作品とすばらしい肉体のために、始めての万歳だ! これは子供たちの笑いの中で始まった、子供たちの笑いで終わるだろう。この毒は、軍楽が向きを変え、おれたちが昔の不調和に戻されたときでも、おれたちの血管のすみずみにまで残るだろう。おお、今、おれたちはこの拷問にあまりにもふさわしい! この約束、この錯乱、創りだされたおれたちの肉体と魂になされた人間性を超えた約束を熱烈に集めるのだ! 優美、科学、暴力! おれたちのこの上なく純粋な愛を実現するために、善悪の潅木を闇に埋め、横暴な実直さを追放することを約束された。これは何かむかつきで始まり、 ― この永遠をただちに捉えることができないから、 ― 逃げ惑う香りで終わる。
 子供たちの笑い、奴隷の慎み、処女の厳格、この場所の人と物の恐怖は、この夜の思い出で聖なるものとなれ。これは全く粗野に始まったが、今、炎と氷の天使たちで終わる。
 聖なる、ささやかな陶酔の夜よ! たとえ、おまえがおれたちに与えてくれた仮面に過ぎなくても。方法よ、おれたちはおまえを肯定する! おれたちはおまえが、昨日おれたちの時代の者それぞれに祝福を与えたことを忘れない。おれたちは毒を信じる。おれたちは毎日、命の全てを与えることができる。
 「暗殺者」の時代がやって来た。

フランス語テキスト

翻訳掲載:2001年8月5日


暗殺者とは

 「暗殺者」はフランス語で assassin で、語源的には les Haschischin から来ています。これはもともとはアラビア語で、中世、キリスト教指導者を暗殺しようとしたペルシアの秘密結社 les Haschischin が大麻を使用していたことから来た言葉です。Hschisch (ハシッシュ)は大麻、マリファナです。ですから、この詩はランボーが麻薬を使用していたときに書かれたものです。「おれたち」は、とくにランボーとヴェルレーヌのことを指していると捕らえることもできます。
 麻薬の力により、道徳や宗教などの社会的規範から自由になることは、見者の詩法のひとつでした。軍楽は麻薬による幻聴、子供は幻覚により周囲の人の顔が子供に見えることと思われます。
 ランボーはパリ・コミューヌの挫折した社会で、ヴェルレーヌを道連れに、当時のフランスあるいはヨーロッパの文化・社会に対して、詩(言葉)による暗殺者、刺客を目指したのでしょう。
 なお、「古代の」「美しくあること」「王権」「ある理性に」「陶酔の午前」などの、見者の詩法あるいはヴェルレーヌとの同性愛を題材にした詩は、「イリュミナスィオン」中で、比較的早い時期の作品と考えられています。

解説掲載:2001年8月5日

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