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ランボー イリュミナスィオン

Ville

都市

 都市計画から同様、家々の家具と外観からもありふれた趣味はすべて回避されているので現代的と信じられている都市の、私はたいして不満のない蜻蛉のような束の間の市民である。ここでは、君たちはいかなる迷信の記念建造物の形跡を指し示すこともできない。道徳も言語もとうとう最も単純な表現に還元された! この互いに知合う必要のない数百万の人々は、同じように教育を受け、職業に就き、老年を過ごすので、その人生は、ある気違いじみた統計が大陸の諸国民に関して見出した人生の何倍か短いに違いない。このようにして、窓から、濃い永遠の石炭の煙の中を新しい幽霊が渡り歩くのを見るのだ、 ― 私たちの森の木陰よ、私たちの夏の夜よ! ― 新しいエリニュエスが、私の祖国と私のすべての心である小屋の前を、というのはここのすべてはこれに似ているから、 ― 私たちの働き者の娘であり下女である、涙のない死の女神と、絶望したある愛の女神と、通り泥の中でひいひい泣く可愛い罪の女神に。

フランス語テキスト

翻訳掲載:2002年11月27日


復讐の3女神

 この詩のフランス語のタイトルは Ville で、同じ「イリュミナスィオン」中の2つの「大都会 Villes 」と違い、単数です。明らかにロンドンの情景を描いたものなので、「都市」と訳しました。
 束の間の滞在者のレポート風にまとめられたこの詩も、おそらく1874年にロンドンに再び滞在したときに書かれたのでしょう。近代的産業都市であるロンドンに、仕事を得るために英語を学習に来たランボーの醒めた感覚が感じられます。「教育を受け、職業に就き、老年を過ごす」と訳した部分は、原文直訳では「教育と職業と老年を連れてくる」となります。近代都市での人生の画一化を強調して書いたと思われますが、分かりにくいので分けて訳しました。新しい幽霊、つまり新しいエリニュエスは、かってのヴェルレーヌとのロンドンでの悲惨な生活の幽霊なのでしょう。死の女神だけは定冠詞が付き、愛の女神と罪の女神は不定冠詞が付いています。エリニュエスは複数の呼名で、単数ではエリニュスとなります。ギリシア神話の復讐の3人の女神の総称です。殺人の復讐神ティシフォネ(ティシポネ)、嫉妬の復讐神メガイラ、怒りの復讐神アレクトです。頭髪は蛇で翼を持ち、地獄に住み、罪人をどこまでも追いかけるとされています。この復讐の3女神は、ヴェルレーヌの詩、「びっこのソネ」の世界と共通性が感じられます。

解説掲載:2001年7月1日、2002年11月27日

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