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ヴェルレーヌ

Il pleure dans mon cœur ...

(町に雨…)

「町にしとしと雨が降る。」アルチュール・ランボー

町に雨が降るように
私の心にも涙が降る
心の中に染みてゆく
この虚しさは何だろう?

地面からも屋根からも
おお、やさしい雨の音!
人さびしい心にも
おお、やさしい雨の歌!

沈み切った心には
いわれもなく雨が降る。
どうして! 誰にも背いていないのに?
この悲しみに、訳はない。

なぜか分からないことが
もっとも辛い苦しみで、
愛もなく、憎しみもなく、
私の心は苦悩に満ちる!


訳注
ヴェルレーヌの詩でよく知られているのは、上田敏訳の「落葉」(「秋の歌」)と、堀口大學訳の「巷に雨のふるごとく/我が心にも涙ふる…」で有名な、この「(町に雨…)」でしょう。
この詩は、ヴェルレーヌの「言葉のない恋歌(ロマンス・サン・パロール)」の「忘れられたアリエッタ」のⅢです。この「恋歌(ロマンス)」は、元々はロマンス語で書かれた物語という意味でついた名前の文学の一ジャンルで、フランスで抒情的な歌曲として発達したそうです。また、アリエッタ(イタリア語、フランス語はアリエットariette)は Larouse に、可愛らしい短いメロディーでイタリア語のアリエッタに当たるものと解説されています。ヴェルレーヌは「言葉のない恋歌」つまり「歌詞の無い歌」で「忘れられたメロディー」を詩にしたのでしょう。1872年5、6月の日付のあるこの詩篇は、当時のヴェルレーヌの心境を美しく歌っています。なお、引用されたランボーのフレーズは、ランボーの詩の中には残っていません。「忘れられたメロディー」になったようです。

2001年12月2日
門司 邦雄

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